ノイズ除去性能の比較・画像その②
前編からの続きです。
前回はフルサイズ機でのテストでしたが、今回はAPS-C機のEOS M2でのテストです。
以下の作例は手持ちで撮っているのでしっかり撮れているとは言い難いですが、そもそも、三脚のある場面だったらこのような高感度で撮ることはまず無いはずなので、実戦に近いデータと言えるのでは無いでしょうか?(言い訳)
さて、面白いことに、同じCANON同士なのに先ほどの5D2とはノイズの乗り方・パターンが微妙に違うのですね。単にノイズ量の多い少ないでは無しに。
5D2はもう10年近く前の機種でM2は割と最近の機種なので、技術の年代のせいかもしれません。そのためか最適なノイズ除去パラメーターも微妙に違っているように感じました。
撮影データ
- カメラ: CANON EOS M2
- レンズ: EF-M22mm F2 STM
- ISO 3200
- F/4.0
- 1/30秒
先ほどと同様、色収差やシャープの設定はオフにしていますが、何故か初期状態の時点でLightroomとDxOとで色調・コントラストが大きく異なっており、簡易的に調整して近づけましたが全く同じにはなっていないです。
ノイズ除去量とディテールも同じ感じになるように調整したつもりですが、両者の性格が違うので、全く同じにはならなかったことをご容赦ください。
Lightroom CC
「ノイズ軽減」の設定
- 輝度: 40
- ディテール: 50
- コントラスト: 0
- カラー: 30
- ディテール: 50
- 滑らかさ: 50
DxO OpticsPro 11
「ノイズ除去」の設定
- 輝度ノイズ: 30
- カラーノイズ: 70
- 低周波: 70
- デッドピクセル: 32
等倍に切り出したもの。
今回もDxOの優勢か・・と思いきや、DxO PRIMEの弱点を見つけました。ビルの外周と空との境界線の、空側を見て頂くと、まるでJPEGのブロックノイズのような染みが現れています。Lightroomでも少し出ていますが、DxOの方が強く出ています。ビルと空が似たような色なのが原因かもしれません。DxO PRIMEも無敵ではありませんでした。
ノイズ除去性能の比較・画像その③
撮影データ
- カメラ: CANON EOS M2
- レンズ: EF-M22mm F2 STM
- ISO 25600
- F/5.6
- 1/90秒
EOS M2最高感度のISO 25600です。
私自身はISO 25600で撮ることはまず無いです。あり得るとしたら、夜間や薄暗い屋内で偶発的にシャッターチャンスに遭遇して他に選択肢が無い時くらいでしょうかね?
あるいは、友人の誕生パーティーに呼ばれて明かりがロウソクの炎だけという状況で撮らないといけない時とか。(いや、考えてみたらそんな洒落たことに誘ってくれる友達はいないのでした。)
では検証です。
先ほど以上に、初期状態で色調が大きく異なっていました。どうやらLightroomは全体を覆うノイズの赤い色に引っ張られてしまうようで、特にシャドー部が赤味がかっていました。作例では色温度調整や明暗別色補正でDxO側に近づけています。
それに対してDxOは発色が自然で、色調は特に調整していません。
初期状態(DxO)。見事にノイズまみれです。
Lightroom CC
「ノイズ軽減」の設定
- 輝度: 80
- ディテール: 62
- コントラスト: 0
- カラー: 40
- ディテール: 50
- 滑らかさ: 50
DxO OpticsPro 11
「ノイズ除去」の設定
- 輝度ノイズ: 80
- カラーノイズ: 100
- 低周波: 100
- デッドピクセル: 32
等倍。
このようなノイズの激しい画像では、LightroomとDxO OpticsProのノイズ除去の方向性の違いが現れて面白いです。
Lightroomは写真として嘘っぽくなろうともノイズを減らして滑らかにしようとするのに対して、OpticsProはあくまで写真という体裁の中でノイズを除去しているように感じます。
個人的にはDxOの質感の方が好みですが、Lightroomの方が合う作風もあるかもしれません。
DxO OpticsProだけを導入するべきなのか?
やはりノイズ除去に関してはDxOの方が頭一つ抜けていると言って過言では無いと思います。
では、Lightroomあるいは他の現像ソフトを購入せずにDxO OpticsProだけを購入すればいいのかと言うと、そういうわけでも無いのです。
DxOはノイズ処理などの現像処理の性能に特化している分、他の機能が弱いです。
ノイズ除去の性能だけに注目するとLightroomは良くないソフトのように思われるかもしれませんが、Adobeだけあって、トータルでは非常に良く作られたソフトだと思います。
○ Lightroomには出来てDxO OpticsProには出来ないこと
- 画像管理。(一覧表示やタグ付け、カタログファイルで管理すること)
- 段階フィルター。(ハーフNDフィルターのような効果)
- 部分補正ブラシ。
- sRAW, mRAWの現像。(DxOはRAWファイルしか扱えない)
- WEB画像ギャラリーの作製機能
- 高度な印刷機能
- 「切り抜き後の周辺光量補正」や「Upright」(高度なパース補正)に相当する機能は別売りのオプションパックが必要
ちなみにLightroomでも完璧に仕上げようと思ったらmRAWやsRAWは使用しないでRAWだけにした方がいいです。それは単に解像度だけの問題ではなく、sRAW・mRAWではベイヤー配列のままの生データが消失しているので、理屈の上ではホットピクセルの判定などを完璧には出来ないはずです。
一方、DxOには出来てLightroomに出来ないことは、機能面ではほとんど無いかも・・・。
強いて挙げるなら、所謂ナショジオ風の写真に仕上げるのはDxOの方が得意だと思います。(Lightroomでも設定を詰めていけば同等のことが出来なくは無いですが。)
操作性・わかりやすさに関してはLightroomの圧勝です。
まとめ
これからRAW現像を始めるという人には100%、Lightroomの方をお勧めします。
DxOは、夜景や星景など高感度でノイズの多い写真を撮る機会の多い人、Lightroomだけでは満足できなくなった人、新しい変化を取り入れたいというような人が補助で使う2本目のソフトとしてお勧めします。
あるいは、CANONユーザーの場合だとDigital Photo Professional(DPP)のようにカメラを買ったら付いてくるRAW現像ソフトをメインに使っている人が、補助として導入するのもいいかもしれません。
尚、以上の意見は私個人の使用方法の範囲においての結論です。人によって撮影方法やRAW現像の手順、要求される品質は違いますので、異なる結論が出ることは大いにあり得ます。例えば、縮小した画像をSNSやブログに載せるのが目的であれば、ノイズ除去性能はほとんど差が出ないはずです。
LightroomもDxO OPticsProも無料で使えるお試し期間がありますので、実際に試してみてご自身の制作スタイルに合っているかどうか見極めてから購入するのがいいと思います。
Adobe Photoshop Lightroom CC 公式サイト
DxO OpticsPro 11 公式サイト
少し本音
と、LightroomとOptics Proの比較検証を行ってみたわけですが。
正直、ここに掲載した作例のようにノイズまみれの写真だと、どのように現像しようとも程度の差こそあれ汚い仕上がりになるのは避けられないので売り物やアート作品にするのは難しく、SNSで公開するくらいしか用途は無いでしょう。(※筆者の場合です)
それよりも、高感度に強いカメラに投資するとか、高感度を使わなくて済むような撮り方を研究する方が効果的かもしれません。
gkrsnama 2018年2月16日
値段が暴落気味なんで奮発してα7RII買いました。いよいよRawに挑戦しようと思っていますが、ソニーのCaptureOneにしようか、標準のLightRoomにしようか、センサのデータベースでお世話になっているDx0にしようか迷っています。どれがいいですかねえ。
α7RIIは高画素ながら高感度ノイズ性能が極めてよく、同世代のα7IIの1/3程度。α7IIの実用上限のISO12800はRIIのISO52000より同等すこしましという感じです。レンズは大口径揃えてますし、いずれも開放からシャープですし、手振れ補正も強力。手持ち夜景も1/15秒ISO1000-3200で切れますし、ノイズ除去性能はあんまり考えなくていいのかなとも思いますが。
なお、私的なノイズ許容上限はコダックゴールド100フィルム(結構ザラザラです)。これがα7IIのISO12800くらい
tomoya 2018年6月25日 — 投稿者
>gkrsnamaさん
お返事おそくなりました。(汗
α7RIIとはいいですね。
おそらく既にRAW編集ソフトを購入して使われているのかもしれませんが、
α7RIIほど耐ノイズ性能のいいカメラでしたら、最初はLightRoomから
初めてみるのが取っつきやすいのではないかと思います。
(CaptureOneは使ったことが無いのでわかりません。)